ギャラリー


Woman -Killer in Oil Hell 湯浅版『女殺油地獄』
原作 近松門左衛門
翻案・英語訳 湯浅雅子

舞台写真は2004年3月15日〜17日に英国リーズ大学ワークショップシアターで湯浅雅子の演出で上演したWoman -Killer in Oil Hellからの抜粋。写真はティム・スケリ氏の撮影。

配役
河内屋徳兵衛……ミシェール・チェン
沢……キャサリン・オーエン
与平衛……ジョナサン・ボンニチ
かち……ヘレン・ラヴ
豊島屋七左衛門……マイケル・テーラー
吉……ティファニー・タイユー
清……ミシェール・チェン
善兵衛……・マイケル・テーラー
白稲荷法印……マイケル・テーラー
(その他、コーラスとナレーションは出演者で演じる。)


(善兵衛と与平衛と吉 第一幕)
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与平衛: ところがどうです。小菊の奴は会津からの客に揚げられて、今朝早うから川御座船でこの野崎におまいりに出たと言うやないか。会津の田舎者に負けたとあって はこの与平衛の顔が丸つぶれや。それで、友だち二人連れて一喧嘩かましたろうと思ってこうしてやって来ましたんや。
吉: まあまあ、与平衛様。語るに落ちるとはこのこと。それやったら信心からの観音様のお参りやのうて喧嘩好きの道楽参りやありまへんか。


(七左衛門と吉と清 第一幕)
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七左衛門: おい、お吉!与平衛!出て来い!早うここへ出て来い!出て来んかったらそこへ踏み込むぞ!


(第二幕 かちと白稲荷法印)
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かち: ・・・ このおかちの病気治すために、婿取りの相談止めて!(先代徳兵衛の霊が乗り移った様になり)・・・ 遊女の身であっても与平衛が約束を交わした女を身請けし嫁にし、この店の身代継がして欲しい。
白稲荷法印: 汝はどこから来た?早く去れ!行者の法力は尽きんぞ!


(第二幕 白稲荷法印と供養にとかち)
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与平衛: この山伏野郎!止めやがれ!


(第三幕第一場 与平衛と吉)
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与平衛:どうしようもなくて、あなたを見込んでお願いしている。お金がないのなら仕方が無い。けど、そこにあると言われる。たった二百目で命を助けて下さるあなたへの恩、決して冥途の果てまで忘れません。


(第三幕第一場 与平衛と吉)
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吉:うちの人とも折り入って相談されるとよい。有るお金だったらお役に立てないものでもなし。五十年、六十年連れ添った夫婦の仲でも思い通りに出来ないのが女の習い。決して私のこと恨みに思われんようにね。


(第三幕第一場 与平衛と吉)
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吉: 誰か!誰か来て!誰か!


(第三幕第一場 与平衛と吉)
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与平衛: 大きな声を出すな、女目!
 

 (第三幕第二場 ナレーター役の河内屋徳兵衛)
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ナレーター: 吉の三十五日のお逮夜には仏の供養のために、同じ浄土真宗の人々が豊島屋に集まり、吉の冥福を祈りました。お逮夜の読経が終わったときに、 豊島屋の店の天井の梁をネズミが走り、何やら古い紙切れを落としました。驚いたことに、その紙は所々血で汚れておりました。


(第三幕第二場 与平衛)
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与平衛: 二十年来の親不孝や悪行の数々が人間の知恵や善性を失わせる魔王となって私の心をくらませた。お吉殿を殺して金を盗ったのはこの河内屋与平衛・・・・・・。

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